山下 清


放浪画家



山下清は、1940年から1954年まで日本全国を放浪しました。

清の放浪生活は、暑い季節は北へ、寒くなってくると南下するといった、まさに本能の
赴くままの旅です。
そして、この放浪で清が求めたものは、何もしないで「ぼやっ」としている時間であり、この「ぼやっ」としている時間こそ、
清の自由な空間だったのです。


テレビドラマの「裸の大将放浪記」では、放浪先で絵を描き、さまざまな感動を残す
ストーリーとなっていますが、実際の放浪ではほとんど絵を描いていません。

旅先で見た風物を自分の脳裏に鮮明に焼きつけ、東京に帰ってから自分の記憶による
イメージを描いていたのです。
数ヶ月間、時には数年間の放浪生活から帰った清は、驚異的な記憶力により自分の脳裏に焼きついた風物を
鮮明に再現していたのです。

しかも、山下清のフィルターを通したイメージは、実物の風物より色鮮やかで暖かい画像となり、
それが独特の貼り絵となっていったのです。



彼の日記にも、そのことが書かれていました。

「ぼくは放浪している時 絵を描くために歩き回っているのではなく きれいな景
色やめずらしい物を見るのが好きで歩いている 貼絵は帰ってからゆっくり思
い出して描くことができた」